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2006年05月22日

「過重労働による健康障害を発生させた事業場」に対する監督指導結果について

長時間労働の放置や不適切な健康管理による過労死や過労自殺が社会問題化している中、東京労働局では監督署がそれらを労災認定した48事業所についての監督指導結果を公表しました。
業種では卸小売業、事業所規模では従業員10人から50人、職種では営業職が最も多い結果となっています。また、被災労働者のうち2割は店長、工場長、部長などの管理監督者でした。
詳しくは下記をご覧ください。


(東京労働局HP)
「過重労働による健康障害を発生させた事業場」に対する監督指導結果について

 東京労働局(局長 奥田久美)では、管下18の労働基準監督署(支署)が平成17年度に「過重労働による健康障害を発生させた事業場」に対して実施した監督指導結果の概要を下記のとおり取りまとめた。


1.監督実施期間
  平成17年4月1日~平成18年3月31日

2.実施対象事業場
   労働時間の不適正な管理、長時間労働や不適切な健康管理を原因として過労死・過労自殺等を発生させ、監督署が労災認定を行った48事業場

3.実施概要
(1) 業種内訳
 48事業場の業種別内訳は、最も多かったのが「卸・小売業」の9事業場、次いで本社事務所等の「その他の事業」の8事業場、建設業の6事業場、交通運輸業及び教育研究業の各5事業場、製造業、警備業及び飲食店業の各3事業場などと続いている(表1参照)。
(2) 事業場規模別内訳
 個別事業場の規模別に内訳をみると、「10人以上~50人未満」規模が19事業場と最も多く、「50人以上~1000人未満」規模が18事業場、「10人未満」規模が6事業場、「1,000人以上」規模が5事業場と続いている(表2参照)。
(3) 被災労働者について
 48人の被災者のうち、管理監督者の立場にある者(勤務時間等を自己管理することができる者で、工場長、店長、本社の部長等)が11人で、一般の労働者が37人であった。一般労働者37人の職種的な内訳としては、営業職に従事する者が10人と最も多く、自動車の運転業務従事者の6人、システムエンジニアの5人、建設現場の施工管理者及び警備員の4人などと続いている(表3参照)。

4.法令違反の指摘状況
   48事業場のうち、完全是正されていたのは1事業場であり、43事業場に対して、労働基準法及び労働安全衛生法違反を指摘し、改善指導を実施した。また、1事業場に対しては、臨検監督実施時も同様の状況が続いていたため司法処分に付した(下記5参照)。残り3事業場については、事業場が廃止若しくは極端に縮小されていたなどの理由で、違反の指摘は行っていない。
   違反を指摘した項目をみると、労働基準法関係では、最も多く違反を指摘した条文は  第32条(時間外・休日労働の届出なく若しくは協定の範囲を超えて時間外労働をさせていたもの)が35件(全体の約73%)、
  第37条違反(時間外手当等の未払い)の21件(同約44%)
  第35条違反(時間外・休日労働の届出なく若しくは協定の範囲を超えて休日労働をさせていたもの)が9件(同19%)
と続いている。 
労働安全衛生法の関係では、第66条の健康診断関係が13件(同27%、うち定期健康診断の未実施が11件、異常所見の有った労働者に関し医師等から意見を聴取していない違反が2件)、第13条の産業医の未選任が6件(同13%)であった。 なお、48事業場のうち、完全是正されていた1事業場を除き、違反を指摘しなかった事業場も含めて「過重労働による健康障害の防止」「長時間労働の排除」「労働時間の適正把握」「健康診断の事後措置の徹底」などに関する指導票を交付している。 各労働基準監督署においては、これらの違反事項、指導事項の是正状況の確認を実施することとしている。

5.司法処分
   上野労働基準監督署は、平成18年3月30日に過重労働により健康障害を発生させた会社及び同社取締役を、平成17年2月1日~同26日までの間に1日の法定労働時間8時間を超えて、最大14時間、合計160時間の違法な時間外労働に従事させた疑いで、東京地方検察庁に書類送検をした(本件については同日付で記者発表済み)

表1 業種別監督指導事業場数
業    種 事業場数
製 造 業  3
建 設 業  6
交通運輸業  5
卸・小売業  9
金融・広告業  1
教育研究業  5
保健衛生業  1
飲食店業  3
清 掃 業  2
労働者派遣業  1
警 備 業  3
情報処理業  1
その他の事業  8
合    計 48


表2 規模別指導事業場数
事業場規模 事業場数
10人未満  6
10人~50人未満 19
50人~1,000人未満 18
1,000人以上  5
合    計 48


表3 一般労働者の従事業務別内訳
従事業務 労働者数
営業職  10
自動車運転者  6
システムエンジニア  5
現場施工管理者  4
警備員  4
その他販売員など  8
合    計 37


投稿者 wp support : 2006年05月22日 08:37

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